Miles Davis / Aura

Aura

Aura

 1984年、マイルス・デイヴィスは著名な音楽家(ほとんどクラシック音楽)に贈られる、デンマークのレオニー・ソニング賞を受賞。この受賞を記念して(あるいは受賞の交換条件として?)、デンマークの作曲家&トランペット奏者、パレ・ミッケルボルグが作曲した作品をレコーディングしたのが、本アルバム "Aura" である。
 と、いわくつき、鳴り物入りのアルバム制作だったようなのだが、当時のマイルスは CBS コロンビアからワーナー・ブラザーズへの移籍問題を抱えており、レコード発売は延期(というかオクラ入り)。1989年に CBS からようやく CD が発売されたものの(当時、日本ではすでにアナログ・レコードはほとんど出ていなかったはず)、まったく話題にならなかったアルバムなのだ。
 さて、演奏内容だが、すべてミッケルボルグの作・編曲で、のべ37人のミュージシャンによるオーケストラ作品となっている。マイルス側からは、前作 "You're Under Arrest" に引き続いて、ジョン・マクラフリンが参加(彼の奥さんがデンマークの人らしい)。また、マイルスの甥、ヴィンセント・ウィルバーンも参加している。
 音楽的にはモダン・ジャズと現代音楽を合わせたような感じのもので、サウンドは重厚。前作とは対照的に、ポップな要素は皆無である。したがって、少しとっつきにくい部分もあるのだが、実は隠れた名盤なのではないか。
 手元にあるのは、ボブ・ベルデンのプロデュースによる2000年リマスター盤。81〜85年のアルバムで、彼のプロデュースによるリマスター盤はほかにあまり出回っていないようだが、どうなっているのだろうか。