Weather Report

Weather Report

Weather Report

  • 1971年2〜3月録音。
  • Joe Zawinul (p, el-p), Wayne Shorter (ss), Miroslav Vitouš (b, el-b), Alphonse Mouzon (ds, voice), Airto Moreira (perc), Barbara Burton (perc)
  • マイルス・デイヴィス・グループから独立したウェイン・ショーター、同じくマイルスのレコーディングに参加したオーストリア出身のジョー・ザヴィヌルチェコ出身のミロスラフ・ヴィトウスの3人が中心となって結成されたエレクトリック・ジャズ・グループ 《ウェザー・リポート》 のデビュー・アルバム。
  • 全ての曲でエレクトリック・ピアノが使用されており、アコースティック・ベースの音もピックアップとエフェクターを用いた 《エレクトリック》 なものである。このため、ウェザー・リポートの音楽は、後に流行した 《フュージョン》 と一緒くたに語られることが多いが、ロックや R&B の要素を取り入れたフュージョン(70年代半ば頃まではクロスオーヴァーと呼ばれていた)とは全く違う。また、60年代に流行した8ビートのジャズ・ロックとも異なる。彼らの音楽は、どちらかといえばフリー・ジャズの延長線上にあり、さらに独自の作曲手法によって創出されたものなのだ。
  • 彼らは延々と即興演奏を行って録音し、その音を再生して印象に残るフレーズを採譜して演奏する、という手法によって、多くの作品を 《作曲》 した。したがって、最初の即興演奏ほど混沌としていて、後になるほどメロディアスになる、ということを繰り返すのである。このため、1日か2日で完了していた旧来のジャズのアルバム制作と異なり、レコーディングに数日から数ヶ月かかるようになった。本アルバムではほとんどの曲は1週間以内に録音されているが、(2) の前半部分のみ1ヶ月後の演奏が編集・追加されている。
  • パーカッション奏者について。アイアート・モレイラは正式に加入したわけではなく、演奏もオーヴァーダビングされたものらしい。また、バーバラ・バートンの名前はオリジナル LP にはなく、日本盤 CD のみにクレジットされている。(ほか、ドン・アライアスも参加したといわれている。)
  • 初期のウェザー・リポートは、ウェイン・ショーターにとって初めての 《自分のバンド》 となった。すでに10年以上のキャリアを持つショーターだが、ジャズ・メッセンジャーズにおいてもマイルス・デイヴィス・グループにおいても、彼は「音楽監督」、「司令塔」という称号を与えられ、要するにずっとナンバー2のポジションだったのだ。だが、新たに手に入れた共同リーダーのポジションも長くは続かなかったのである。