Wayne Shorter / Super Nova

Super Nova

Super Nova

  • 1969年8月29日、9月2日録音。
  • Wayne Shorter (ss), John McLaughlin (ac-g, el-g), Sonny Sharrock (el-g), Chick Corea (ds, vib), Miroslav Vitous (b), Jack DeJohnette (ds, kalimba), Airto Moreira (perc), Walter Booker (ac-g), Maria Booker (vo)
  • 1969年2月、マイルス・デイヴィスのアルバム "In A Silent Way" 録音の後、ウェイン・ショーターは主にソプラノ・サックスを吹くようになる。本作ではショーターはソプラノのみを演奏。共演者も総入れ替えとなり、当時のマイルス・グループのメンバーを中心に、まったく新しい音楽を創り出したのだ。
  • 全6曲入り。(3) はブラジルの作曲家アントニオ・カルロス・ジョビンが作曲したヴォーカル・ナンバー。ほかはショーター作曲のオリジナル。
  • (2), (4), (5) は1967年にマイルス・デイヴィスクインテットと共に録音したことのある曲だが、まったくアレンジを変えて再演している。(マイルスのほうは一旦オクラ入りし、1976年にアルバム "Water Babies" に収録・発売された。)
  • (1) は超アップ・テンポのフリー・ジャズ・ナンバー。荒れ狂うようなショーターのソプラノに対し、戦いを挑むようなミロスラフ・ヴィトウスのベースが物凄い迫力である。ギター2人、ドラム2人というのがユニークだが、ピアニストのチック・コリアがドラムを叩いているのも珍しい。
  • (3) の冒頭では、サンバのリズムに合わせて混沌とした音が積み重なっていく。中間部はウォルター・ブッカーのギターと彼の妻マリアのヴォーカルのデュオで、ボサノヴァの原曲が演奏される。(歌の終わりのところでマリアが泣き出してしまうのがそのまま収録されている。)そして、再び狂騒的なサンバが始まるという展開。本アルバムのクライマックスである。

……「彼女はあの頃、つらい出来事を経験していたんだ。結婚生活の破綻という悲しい経験をね」とウェインは言う。「だから、歌の最後で彼女は泣いてしまったんだよ。僕はこう言った。彼女の人生をレコード盤の溝の中に刻むんだ。彼女の生命をすべて入れ込むんだってね。彼女にとって、このレコーディングは癒しにもなった。セッション後に彼女は離婚したんだ」。


 ミシェル・マーサー 『フットプリンツ 評伝ウェイン・ショーター潮出版社

  • (6) もサンバのリズムが根底にあるのだが、次第に混沌としていく不思議な曲。ソプラノ・サックスのロング・トーンが気持ち良い。前作までとはまったく違ったコンセプトで作られたアルバムだが、名盤だと思う。