キング・クリムゾン/暗黒の世界


  • 1974年発表。"Starless And Bible Black"。
  • メンバーは、ロバート・フリップ(g, mellotron)、デヴィッド・クロス(vln, viola, key)、ジョン・ウェットン(b, vo)、ビル・ブラッフォード(ds, perc)。
  • 全8曲収録。LPではA面に6曲(うち4曲がヴォーカル入り)、B面に長いインスト曲が2曲という構成だった。
  • 演奏は (1)、(2) および (4) の後半がスタジオ録音、(4) の前半および残りの曲がライヴ録音である。もっとも、ライヴといっても拍手や歓声は入っておらず、知らずに聞いたらスタジオ録音と区別できないレベルの内容になっている。(本作の大半がライヴ音源だという事実を、90年代に発表された CD の解説によって僕は初めて知り、驚いたものである。)
  • 上の動画は、(8) "Fracture"。*1 11分の大曲だが、ギターの異様に複雑なフレーズが延々と続き、次第に盛り上がっていく構成が見事だ。
  • 一方、(3)、(5)、(7) のように最初から最後まで全部インプロヴィゼーション(即興演奏)という曲もある。ジャズやブルースのジャム・セッション(『アースバウンド』の楽曲みたいなのも含めて)の場合、コード進行やリズム・パターンがあらかじめ決められていて、その上に即興のソロを重ねていくのが普通だが、クリムゾンの場合はそういった約束事もなく、出たとこ勝負で演奏しているようだ。また、モダン・ジャズのイディオムを意図的に廃し、東洋風のスケールを中心に独自の音楽を作り上げている。(この点、ジャズ・ロックの人気バンドだったマハヴィシュヌ・オーケストラとは対照的だ。)


Starless & Bible Black: 30th Anniversary Edition

Starless & Bible Black: 30th Anniversary Edition

*1:動画のタイトルに (with lyrics) と書かれているが、インストゥルメンタル曲である。