Wayne Shorter / Without A Net

 ウェイン・ショーター(1933-)の8年ぶりの新作が発売された。
 メンバーはダニーロ・ペレス(p)、ジョン・パティトゥッチ(b)、ブライアン・ブレイド(ds)によるカルテットを中心に、1曲だけ木管楽器のアンサンブルが加わる編成である。
 この新作 "Without A Net" には2010〜2011年のライヴ録音が収録されており、"Orbits" と "Plaza Real" が旧曲(もちろんアレンジは全く違う)、その他は新曲だ。
 ショーター(ts、ss)の長い経歴を振り返ってみると、アート・ブレイキージャズ・メッセンジャーズ時代(1959-1964)、マイルス・デイヴィス・グループ時代(1964-1970)、ウェザー・リポート時代(1970-1985)と、いずれも「司令塔」、「優れたサブリーダー」という扱いであり、常にナンバー2の位置を保持していた感がある。また、自己名義のアルバムも多数発表しているが、毎回共演メンバーが異なるなど、安定したバンド・メンバーに恵まれない――というのが、90年代までのショーターだったといえよう。
 このような経歴を考えると、2001年に結成され、現在まで活動を継続しているカルテットは、メンバー全員の実力、バランスともに万全である。

 上の動画は2010年のライヴ映像だが、CD に収録されている演奏はまったく雰囲気が異なっている。
 超ベテランの演奏に対して「新しさ」を求めるのは難しい部分があるだろう。だが、ショーター・カルテットの次々に繰り出す集団即興演奏は、すべてが新しいのである。
 ショーターは今年80歳になる。あとどれだけ僕たちリスナーをガツンとさせてくれるのだろうか。


Without a Net

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