Bill Evans / You Must Believe In Spring

You Must Believe in Spring

You Must Believe in Spring

  • 1977年8月23〜25日録音。
  • Bill Evans (p), Eddie Gomez (b), Eliot Zigmund (ds)

 1977年8月に録音された後期ビル・エヴァンス・トリオの最高傑作。
 より正確にいえば、70年代後半のエヴァンスはトリオの新作を発表しておらず、当時の人気は下降線、ジャズ界では過去の人という扱いになりつつあったのだ。前作、"I Will Say Goodbye" (77年録音、80年発表)にも同じことがいえるのだが、本作が発表されたのは彼の死後、1981年のことである。エヴァンスは "You Must Believe In Spring" を遺し、そして伝説となったのだ。
 オリジナル LP は全7曲入り。CD は3曲追加。"I Will Say Goodbye" から3ヶ月後、同じメンバーによる演奏とあって、同様のコンセプトで作られたアルバムだと思われるのだが、かなり印象が異なる作品になっている。メロディアスな楽曲が揃っているというのもあるし、短調の曲が多いのもある。しかし、それ以上に、エヴァンスのピアノの全ての音が、痛いくらいシリアスに響くのである。
 また、エディ・ゴメスも素晴らしい。本作における彼の役割はオブリガートを奏することに徹している。ベースが唄っているのだ。

『ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング』というタイトルは、ミシェル・ルグラン作曲のミュージカル映画、『ロシュフォールの恋人たち』 の挿入歌から。
 春の到来を信じよ! というエヴァンスからの力強いメッセージ・ソングである。