Bill Evans / Quintessence

Quintessence

Quintessence

 13年ぶりとなるクインテット編成によるアルバム。フィリー・ジョー・ジョーンズ以外は、エヴァンスと初顔合わせとなる人たちばかりである。
 オリジナル LP は全5曲入り。CD はボーナストラック (6) が追加収録されている。(5) はケニー・バレル作曲のオリジナル。ほかはスタンダード・ナンバーである。アルバムは一番演奏時間の短い (3) "Second Time Around" を中心に(LP では A 面の最後)構成されていて、(3) のみピアノ・トリオ、他の曲はクインテットで演奏される。
 この中では、(3) が圧倒的に良い。特に、レイ・ブラウンがごきげんなベースを聞かせてくれるのである。(エディ・ゴメスにうんざりしていたファンも多かったことだろう。)だが、この曲はあっという間に、フェイド・アウトで終わってしまう。他の曲も悪くはないが、テナーとギターは飾り物的な位置づけに留まっている。
 追加曲の (6) はうって変わってリラックスした雰囲気のスタンダード・ナンバー。ケニー・バレルハロルド・ランドも、存在感のあるソロを聞かせている。
 70年代後半のエヴァンスは、セッションごとにメンバーの異なるクインテット作品を何枚か残しているが、本作はその中でも代表的な1枚といってよいだろう。