マゼール/ホルスト 組曲 『惑星』
http://d.hatena.ne.jp/hrkt0115311/20091230/1262145689
冨田勲のシンセサイザーも良いんですけど、『惑星』 はなんといってもオーケストラの原曲が素晴らしいんですよ。hrkt0115311 さんにはぜひ管弦楽版を聴いていただきたいと思います。
以下は 『惑星』 に関するトリビアなど。2005年に書いた記事を全面改稿したものです。
イギリスの作曲家、グスターヴ・ホルスト(1874-1934)は、1917年に、組曲 『惑星』 を作曲・完成させた。
この楽曲の特徴を挙げてみよう。
- 火星・金星・水星・木星・土星・天王星・海王星の7曲から構成される管弦楽組曲である。
- オーケストラでは最大の4管編成である。
- パイプオルガンが使用されている。
- パイプオルガンが設置されているコンサート・ホールは少なくないが、どこでも演奏できるわけではない。
- 女声6部合唱が、最終曲「海王星」で使用されている。
- わずか8分程度の最終曲だけのために、合唱団を雇わなければならない。
- ホルスト自身の意志および遺言により、編曲・楽器編成の変更・一部を抜粋した演奏が禁止された。
- 以上のような事情があって、作曲者の死後、演奏される機会は稀となった。
レコード芸術の分野では、ほとんど無名だったこの管弦楽曲を一躍有名にしたのは、カラヤンであった。(1961年録音。ウィーン・フィル。)カラヤンの後、多くの指揮者によって演奏されるようになり、『惑星』 はクラシック音楽の定番曲になったのである。
以下に紹介する、1981年デジタル録音のマゼール盤は、空前の迫力でカラヤンの旧演奏を凌いでいる。 演奏、録音共に最高の一枚。
岩崎一彰描く宇宙細密画のジャケットも魅力的だと思う。(CDはイラストが小さくて残念。)
- アーティスト: ロリン・マゼール
- 出版社/メーカー: SMJ(SME)(M)
- 発売日: 2008/11/19
- メディア: CD
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
さらに後日談。
2000年に、イギリスの作曲家コリン・マシューズが、「冥王星〜再生をもたらす者」を作曲し、ホルストの組曲の後に続けて演奏されることが多くなった。「冥王星」 つきの 『惑星』 CD はいろいろ出ているようだが、「金星」 の消え行くような静かなエンディングの後に、余計なものを付け加えたとしか思えない。また、2005年には 「小惑星トータティス」、「セレス」 など関連曲が複数の作曲家によって作られているが、これらはイギリス人指揮者サイモン・ラトルが企画したものらしい。
その後、2006年に天文学上の 《惑星》 の定義が変更され、冥王星が惑星から除外されたりしたため、これらの曲の位置づけは微妙になってしまったのだが、まだまだ便乗曲が増えるかもしれない。