第9講 田山花袋 『蒲団』(2)
http://homepage2.nifty.com/akoyano/juku/top.html - 文学コース
講義ノート
講義の最中にとったノートをほぼそのまま写したものなので、文責はすべて kanimaster にあります。
- テクスト論
- 田山花袋の妻
- 花袋は、太田玉茗(ぎょくめい)の妹りさと結婚した。
- 岡田美知代がやって来たとき、花袋は32〜3、妻は20代だった。
- 美知代が書いた手紙 「奥様先日は失敬!」 タメ口になっている。
- 『拳銃』 について
- 永代静雄(ながよ しずお)……田中のモデル
- 江見水蔭(えみ すいいん)……明治38年頃、花袋が美知代とのことで悩んでいたことを書いた。
- 永代と美知代の駆け落ち……その後、花袋は美知代を養女にして、永代と結婚させた。
- 明治42年、漱石が一高講師を辞めたとき、後任となったのが美知代の兄、岡田実麿。
- 自然主義文学は売れない
- 文壇の中で話題になっただけ。『蒲団』 という作品集が出版されたわけではない。
- 世間では、花袋は「痴漢」と呼ばれた。
- 永代は、『不思議の国のアリス』 を初めて翻訳した。
- 大西小生……永代と美知代を擁護した。
- 大塚英志
- 美知代は結婚したのだから、小説にあらぬことを書かれたとしてもそんなに被害はなかったのでは?
- 明治40年当時、男女の恋愛についてはそんなに厳しくなかったという説もある。
- 花袋の友人……柳田國男と国木田独歩
- 『蒲団』 では以下の三つが省かれている。
- 日露戦争
- 美知代との手紙のやりとり
- 妻との軋轢
- 『蒲団』 的自然主義(自己暴露)とその後の自然主義(起こったことをだらだら書く)は区別すべき。
- 島崎藤村の場合、『家』 はだらだらしている。『新生』 は姪との関係を暴露している。
- 蒲団の匂いをかいでオナニーしたなんて、当時は書けなかっただろう。
岡谷公二(?)岡田美知代は、田中の関西弁がおかしいことを指摘している。- 二 「今より三年前、三人目の子が細君の腹に出来て、新婚の快楽などはとうに覚め尽した頃であった。……」
- 近代において、初めて“退屈”を描いた。
- 結婚5年目くらいで、妻に飽きた。
- 三 「芳子さんが来てから時雄さんの様子はすっかり変りましたよ。」
- 明治40年、“自分を書く”のが流行った。
- 明治43年には、谷崎・志賀が登場。わずか3年。
- 花袋は醜い自分の性欲を描くことによって、新境地を開いた。
- 本当に美知代を欲していたかどうかは別。
- 自己暴露小説の系譜
- 戦後の二大暴露小説
- その他&余談
- 大江健三郎……ノーベル賞を受賞したが、一般の読者がどの作品から読めばいいのかわかりにくい。
- 村上香住子(むらかみ かすみこ 1942-) 『恋愛、万歳』……母親のことを書いた本。伊丹十三に会った話など。
次回
- 川端康成 『雪国』
- 駒子にはモデルがいるが、葉子にはいない。
- 駒子のモデルは1999年に亡くなった。
- 『雪国』 はいつの間にかセックスしている小説である。