第3講 樋口一葉『たけくらべ』(2)

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講義ノート

 講義の最中にとったノートをほぼそのまま写したものなので、文責はすべて kanimaster にあります。

  • 二章について
    • 長吉が語り手である。
    • 長吉、正太郎、太郎吉、三五郎、丑、文、弥助、信如という人名が書かれている。名前だけ出てくる人物と、その場に出てくる人物がいる。里見惇、泉鏡花の小説にも用いられている手法。
    • 横町組(下層町人)と表町組(上層町人)の対立。
    • 横町、新道……下層
    • 表店(おもてだな)/裏店(うらだな)
    • 後架(こうか)……トイレのこと。長屋の裏手にあった。(落語に出てくる。)
    • 町内のグループの対立と、相手方に恋をする話。『ウエストサイド物語』、『ロミオとジュリエット』。浄瑠璃『妹背山婦庭訓(いもせやまおんなていきん)』。
    • 西洋文学の影響か?
    • 私立学校(長吉、信如)より、公立学校(正太郎)のほうがえらかった。
    • 胴揚(どうあげ)……いじめ。『ドン・キホーテ』には、毛布の上に乗せる「ケットあげ」が書かれている。
  • 三章について
    • 美登利の紹介から始まる。(地の文。)
    • 大黒屋……置屋
    • 揚屋、茶屋、置屋の違い。
    • 禁煙ソープランドについて。
    • 美登利は紀州生まれ
    • 姉・大巻は花魁。花魁が一番偉い。
    • 「全盛の余波(なごり)」……余波とは時間的な名残りではなく、威光という意味。
    • 母の仕事は仕立物。父は事務屋。
  • 四章について
    • 「おっと来たさの次郎佐衛門」……明治21年初演の歌舞伎 『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』の主人公、佐野次郎佐衛門のことだが、ここでは語呂合わせ。「恐れ入谷の鬼子母神」、「尾張名古屋の金の鯱鉾」、「当たり前田のクラッカー」などと同じ。
    • 『籠釣瓶花街酔醒』では「花街」を「さと」と読ませているが、正しくは「かがい」と読む。「はなまち」は間違い。
  • 五章について
    • 三五郎が長吉たち一味に殴られる場面。