2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

顕微鏡に蚤の祈りを閉じ込めぬ

ちい散歩

あの空を散歩しけむや五月晴

さくらんぼ

チョコパフェに君臨したるさくらんぼ 桜桃は一番先に食べる主義

苔茂る

苔茂るロボット兵の肩の上 苔茂る五百年後のスカイツリー

夏つばめ

小説を読むのも飽きて夏つばめ

昼顔

昼顔や風もないのにそよぎをり 昼顔の中でバイクは朽ちにけり 昼顔や錆びたミラーに巻きつきぬ 昼顔の蔓絡まるや横田基地 昼顔の絡むフェンスや飛行場 五時迄は浜昼顔のバイトなの 自転車に乗らふとしたら昼顔が 昼顔や団体客は過ぎ往きぬ

梅雨寒

梅雨寒や猫には猫の矜持あり

ガン消し俳句

とりどりのガン消し浮かべ長湯かな 抽斗の奥の奥からジムキャノン 色別に並べるなかれガンタンク 日を浴びて古きガン消しベトベトす 幾たびもグフばかり出る帰り道 ちよつと待てその丸いのはボンボン系 コロコロを買って来てって言ったのに

蛍ほか

風止みて千の蛍の飛立つ夜 着飾りし子らは蛍を口実に 蛍火やいつもと違う子と話す 母猫の視線の先に蛍かな Wi-Fi の充電切れて夕蛍 兄弟の喧嘩終はるや初蛍 五月闇カレーうどんと和解せよ

青蛙

大丈夫きつとあなたは杜若 歯ブラシを分かちあうなり夏の夕 香水の匂ひで気付く夫(つま)のシャツ 客客と来訪告ぐや青蛙 足元でわかる彼女は青蛙 百年間青蛙とする刑罰 多摩丘陵混声合唱青蛙 青蛙なんか出ている尻の穴

藻の花

藻の花やひとの話のややこしき 揺れつつも流されはせぬ花藻かな 藻の花やおじさまあたいのことが好き?*1 *1:元ネタは室生犀星 『蜜のあわれ』。

桑の実

桑の実を食べて小さくなつたふり 花栗や家庭教師は帰りけり 指先をやや絡ますや含羞草(おじぎさう)

夏至

教会に7の形の雲の峰 猫集ふ日陰短き花南天 紫陽花や昼は本気の蒙古麺 今頃はカリフォルニアも夏至の朝 思ひ出の横丁辿る夏至の夕 夏至夕べちよいと手酌でお兄さん 夏至の夜や友と語りて酒三合

コロッケ買ふ

明易し肩に乗せたる鉛かな コンビニの端末難し桜桃忌 谷崎と鏡花が好きで桜桃忌 コロッケの売切れ近し五月雨 五月雨かかりしタトゥ柄タイツ

網戸

釣堀の丸き背中や神田川 破れたる網戸に魍魎入りをり 長靴を新調すなり麦の秋

蟻ほか

新聞を捲れど捲れど蟻がをり 母からのFAXに写る蟻の影 黒蟻は不燃ゴミの日知つてゐる 黒蟻に覆われてをり下半身 数学の教科書蟻が群れてゐる 蟻塚に小便せしが大惨事 短夜や繰り返し聴くパルティータ 夏めくや臥して畳を見つめをり 梅雨寒や寝返り打てば猫の…

第20回いるか句会

堀本裕樹公式ブログ |◆第20回いるか句会告知 6月16日(土)、第20回いるか句会に参加。以下の6句を投句しました。 猫からの報せによると蟻の列蜜塗つて蟻の塔とする刑罰短夜に始発を待つや渋谷駅球場を出て短夜に深呼吸公園に響くカホンや夏の空びしょ濡れ…

五月雨ほか

青インクしばし乾かず五月雨 焼酎を呷りヘルタースケルター ギヤマンの鐘は何処や卍党 ギヤマンのデウスマリアと鐘の音 一人では脱げぬ着ぐるみ蝉生まる 蝉生まれ鳴くこともなき女かな 戯言と笑はば笑へ蟇(ひきがえる) 短夜やパズルのピース欠けにけり 短…

茄子の花

足指の股のあたりに梅雨入(ついり)かな 諦念と云ふ名の茄子の花なりき

五月富士

丹沢の彼方にありや五月富士

河鹿

河鹿笛遠くに聞きて薄茶かな 泡の立つエスプレッソや河鹿聞く 河鹿鳴くカップ二つのアールグレイ 絵葉書を書いてみるなり河鹿聞く

梅雨入

梅雨入は頭から足先は未だ コンビニへ行く道遠し梅雨の入

栗の花

風のなきテニスコートや栗の花 花栗や目覚まし時計鳴りやまず

オカルト自由律俳句

貞子のビデオテープ巻戻し再生する この家だけ雨降り 幼き日に見たのと同じ森ガール 遠足の一人増えてる帰り道 曽祖父の卒業写真唄ひ出す夜 墓の後ろから抱きつかれる 廃校からオルガンの音が聞こえる このトイレ叩くと中から叩くのよ三年前から

蟷螂生まる

時鳥孤独孤独と啼きにけり 子蟷螂名前つけたよかまってちゃん 蟷螂の子に喰はれをり以下次号

葛切

葛切やミの音出ないハーモニカ

更衣

助手席の窓を開かん更衣

臥す朝や力無き身に蠅止まる ベツレヘムの飼葉桶にも蠅止まる 一匹の蠅の潜みし電送機

代田

安曇野に常念映す代田かな 口開けば降つて来さうなさくらんぼ 狩る人のうなじに光る蛍かな

夏服

大小の夏服並ぶ物干場 夏服の大中小と並びけり 夏服や真犯人まで十ページ 夏服や路面電車の一番前 夏服の転校生に嫉妬する 夏服や明治生まれの祖母の写真 夏服やちよつと屈んで写真撮る 夏服やショルダーバッグの対角線 夏服や緑まぶしきスタジアム 夏服や肩…