2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

春疾風(はるはやて)

春疾風ペテロは三度否みけり 囀(さへづり)をBGMに短編集 囀の初めはジュラ紀の巨鳥かな ここからは立入禁止すすきの芽

年度末

足早のパンツスーツや年度末

雪崩

山奥の知る人ぞなき雪崩かな

ミモザ

籐籠にこぼるるほどのミモザかな

受胎告知

大天使受胎告知や春の夜 花月夜其の名をイエスと名づくべし 春めきてナザレの乙女祈りけり ガリラヤも芽吹きの頃やお告げの日 初桜処女(をとめ)マリヤは身籠りぬ

檸檬忌

何喰はぬ顔して出づや檸檬の忌*1 レコードのショパンの音や春の雲 春光やロンド奏でる蓄音機 鶯の声ジェット機と競ひけり ごんずゐの塊黒し水族館 *1:3月24日は梶井基次郎の命日。

涅槃西風

涅槃西風田舎にもまた都会にも*1 春窮の故に着ぐるみバイト哉 *1:「ねはんにし」は春の季語。涅槃西風(ネハンニシ)とは - コトバンク参照。

春分

春分や振替輸送のローカル線

春時雨

春時雨車椅子押す老母かな 春の夜や職人篆を刻みけり

印鑑を作ってもらった

雨人的篆刻 ~篆刻青春記~ |経堂です 経堂駅前の書店で買い物をしていたら、「手彫りはんこ屋 実演販売」というのをやっていて、面白そうなので、俳号のはんこを作ってもらうことにした。 《篆刻》 というのは石に文字を刻んで行くのである。 さて、彫って…

彼岸入り

春雨に濡れしコートの重さかな 日迎や慣れぬ鼻緒で歩み居り

辛夷

巡礼の路も半ばや辛夷咲く

雪の果

雪の果双つの星の逢瀬かな イヤホンのボリューム下げて雪雫 寝転んでおにぎり頬張る灯台草

座禅草

日を避(よ)けてむくむく伸びる座禅草 座禅草耳が大きくなっちゃった 春寒し膝に乗りたる猫二匹

垣繕ふ

繕ひし垣より育つ少女かな

春セーター

みちのくの訛りこぼるる春セーター 春灯や瓦礫の前に跪く

薄紅梅

海豹と猫の区別を述べ給へ マカロンを選ぶ親子や春の暮 被災地を遍く照らせ春の月 看護師の宮城訛りや薄紅梅

夏蜜柑ほか

ブラジャーに入れたことある夏蜜柑 寒戻るそんな日もあるコップ酒 春雨やマスターお湯割もう一つ 春雨に濡れし暖簾の重さかな

木の芽

辛夷の芽雨に雫の落ちにけり 春の夜やコンクリートも柔らかき

Rocket Garden 毛 に触発されて。 上毛の女の髪や花簪 黒き毛のタイツに透ける余寒かな 春寒や読まれぬままの毛語録 あらやだ毛根な時間 剃毛の自分の脚に萌へて居る

ペンギン俳句

http://www.asahi.com/national/update/0304/TKY201203040249.html ペンギンも元気に泳ぐ春の海 啓蟄や汝は南を目指すなり 飛べずとも星を頼りに鳥帰る 海に出ても一人 春の暮父母おはす葛西かな ちちははのおはす葛西や春の暮 朧なる東京湾や黒き影 南洋へ…

まんさく

満作や山の向かふに煙りけり 古書店の看板娘や春寒き 梅開く窓の外には暮るゝ川 玄関にローファー並ぶ卒業式

桃の花

春光やカラータイツの並びたる 店先に猫眠りけり桃の花 春の日や砥石に泡の二つ三つ 鍋蓋を取れば蛤開きけり

猫の恋

ナオオオオ猫の恋なりナオオオオ 春光やトンネル抜ける聖橋 玄関でアマゾンを待つ内裏雛 ローファーで踏み入る脚や荻の角 春光やテニスコートを照らしけり 今日買ひし桃の夜更けに開花かな

弥生

外套を脱ぐ人多し弥生かな ものの芽や小雪消えたる土の上