2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

サン=テグジュペリ 『星の王子さま』(河野万里子訳)

サン=テグジュペリ 『星の王子さま』(内藤濯訳) - 蟹亭奇譚 サン=テグジュペリ 『星の王子さま』(池澤夏樹訳) - 蟹亭奇譚 に続いて、3冊目。星の王子さま (新潮文庫)作者: サン=テグジュペリ,Antoine de Saint‐Exup´ery,河野万里子出版社/メーカー: 新…

『邪宗門』と新聞連載小説

『邪宗門』について 「邪宗門」の事実 - 猫を償うに猫をもってせよ 従って、純文学は元から、半年というような長編の予定ではなかったのであり、「邪宗門」も、長編が予定されていたのではなく、30回くらいで頼んだのが、終わらずに中絶した、と考えるべきで…

サン=テグジュペリ 『星の王子さま』(池澤夏樹訳)

星の王子さま (集英社文庫)作者: Antoine de Saint Exup´ery,アントワーヌ・ドサン=テグジュペリ,池澤夏樹出版社/メーカー: 集英社発売日: 2005/08/26メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 43回この商品を含むブログ (190件) を見る 2冊目の 『星の王子さま』 …

サン=テグジュペリ 『星の王子さま』(内藤濯訳)

十数種類の翻訳が出版されているという 『星の王子さま』 を3種類続けて読んだので、簡単に比較してみることにする。なお、僕はフランス語を解さないので、どの訳が正しいかは問わないことにする。星の王子さま―オリジナル版作者: サン=テグジュペリ,Antoine…

ゲゲゲの王子さま

こんなところに共通点があったとは!

『人間の土地』 に登場する飛行機

『夜間飛行』に登場する飛行機 - 蟹亭奇譚の続き。 一九三五年 (中略) パリ=サイゴン間の飛行記録を更新するためル・ブールジェ飛行場を出発するものの、リビア砂漠に不時着する。ベドウィンの遊牧民に救われて奇蹟的に生還。 『人間の土地』(新潮文庫) …

サン=テグジュペリ 『人間の土地』

1920年代のモーリタニア(当時はフランス領西アフリカだった)。首都ヌアクショット付近の屯所に、サン=テグジュペリらが不時着したときの話。 小説 『南方郵便機』 に書かれている老軍曹のエピソードについて、「あの夜のこともまた実話だ」 と作者は述べ…

空高し

秋雨や布団の中に猫二匹 欧州のジャズ聴く今宵雨の月 秋雨や続けて響けピチカート 空高し猫の瞳に映る雲 曼珠沙華ゲゲゲ最終回の朝 ゲゲゲの女房作者: 武良布枝出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2008/03/07メディア: 単行本購入: 14人 クリック: 441回…

「大切なことは目に見えない」

イエスが十字架にかけられ、その後復活したときの話。 十二人の一人でディディモと呼ばれるトマスは、イエスが来られたとき、彼らと一緒にいなかった。 そこで、ほかの弟子たちが、「わたしたちは主を見た」と言うと、トマスは言った。「あの方の手に釘の跡…

芥川龍之介 『邪宗門』

『邪宗門』 が収録されている新潮文庫版 『羅生門・鼻』 の巻末注には、『今昔物語』 や 『宇治拾遺物語』 などの元ネタが記されているが、反面、聖書からの引用・転用が全く書かれていないので、少しだけ元ネタ探しをやってみることにしたい。 まずは十文字…

フローベール 『紋切型辞典』

なにげにフローベール再読中。『三つの物語』と『紋切型辞典』 - がらくた銀河 フランス文学なんてちっとも読んだことがないのだけど、florentine さんのおすすめ、『紋切型辞典』 を書店で見かけたので最初のページを開いてみた。 アイスクリーム [glace] …

『夜間飛行』に登場する飛行機

夜間飛行 (新潮文庫)作者: サン=テグジュペリ,堀口大學出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1956/02/22メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 75回この商品を含むブログ (209件) を見る 1993年改版以降、『夜間飛行』(新潮文庫)のカバーには宮崎駿のイラストが用…

芥川龍之介 『羅生門』

『羅生門』 とはどのような小説か? と聞かれたら、あなたはどう答えるだろうか。 失業した下人が、死人の髪の毛を抜いている老婆に出会い、自らもまた老婆の着物を盗む話。 ――と答える人がほとんどではないだろうか。なるほど、ストーリーはそのとおりだ。…

サン=テグジュペリ 『南方郵便機』

1920年代のアフリカ北西部、カサブランカとダカールの中間あたり。郵便飛行機の操縦士ジャック・ベルニスは、機体のトラブルによりサハラのフランス軍小屯所に不時着する。彼を迎えるのは一人の老軍曹。ここには半年に一度しか郵便が届かないのだと軍曹は語…

サン=テグジュペリ 『夜間飛行』

妻は夫を眺めた。自分の手で、夫の武装を隙なく仕上げる。万全に整った。 「すごくきれい」 そして彼女は気づいた。夫の髪がていねいに整えられている。 「それ、星に見てもらうため?」 「老けた気分にならないため」 「嫉妬するなあ……」 サン=テグジュペ…

島崎藤村 『飯倉だより』

『飯倉だより』 は大正10(1921)年に刊行された 《感想集》。 藤村は大正7年から昭和11年まで、麻布飯倉片町の借家に住んでいたため、こういう題名をつけたのだろう。年齢(数え年)でいうと47歳から65歳までの18年間であり、一箇所に住んだ年数としては最…

マロイへの伝言

フィリップ・マーロウは命がけで賭博船に乗り込み、《大鹿マロイ》 への伝言を届けてくれと、暗黒街のボス、ブルネットに依頼する。 ※強調部は引用者による。 「どんな伝言だ?」 私はデスクの上の紙入れから名刺を一枚とり出して、その裏に鉛筆で文字を五つ…

おい、ヘミングウェイ。

フィリップ・マーロウと大男(警官)との会話。インディアンというのはある男に雇われている用心棒のことである。 「どうして、ピストルが要るんだね?」 「インディアンを殺すんだ」 「そうか。インディアンを殺すのか」 彼はまた、口髭の男を見て、いった…

チャンドラー 『さらば愛しき女よ』

私立探偵フィリップ・マーロウが登場する小説は、実はソフトボイルドである。 ※強調部は引用者による。 I had had two cups of black coffee, then I had had a drink, then I had had two soft-boiled eggs and a slice of toast broken into them, then so…

筒井康隆 『現代語裏辞典』

あいさい【愛妻】 妻のほうは何とも思っていない。その証拠に「愛夫」ということばはない。 エスエフ【SF】 SFマンガ、SFアニメが生れる以前のSF小説のこと。 びよう【美容】 美人には不要。醜女には無用。 筒井康隆の新刊 『現代語裏辞典』 は上の…

島崎藤村 『生い立ちの記』

『生い立ちの記』 は明治45年に発表された短編小説。*1 「或る婦人に與ふる手紙」 と副題がつけられているとおり、一人の女性に宛てた書簡形式になっており、内容は語り手の 《私》 (もちろん作者自身がモデル) の近況と自身の生い立ちが交互に綴られてい…

島崎藤村 『芽生』

『芽生』 は明治42年に発表された短編小説。*1 執筆時期は、明治43〜44年に発表された長編 『家(上・下)』 の直前にあたり、内容も 『家』 と重複する部分の多い作者の自伝的小説である。 島崎藤村 『家 (下巻)』 - 蟹亭奇譚 作中に描かれる年代は明治37…

ル=グウィン 『ゲド戦記6 アースシーの風』

アースシーの風―ゲド戦記〈6〉 (岩波少年文庫)作者: アーシュラ・K.ル=グウィン,ディビッド・ワイヤット,Ursula K. Le Guin,清水真砂子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2009/03/17メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (6件) を見る 原著の…