Bill Evans / Crosscurrents

Crosscurrents

Crosscurrents

  • 1977年2月28日〜3月2日録音。
  • Bill Evans (p), Lee Konitz (as), Warne Marsh (ts), Eddie Gomez (b), Eliot Zigmund (ds)

 ゲストに2名のサックス奏者を加えた企画もの。
 オリジナル LP は全6曲入り。CD は別テイク3曲を追加している。曲はすべてカヴァーもしくはスタンダード・ナンバーであり、オリジナルがひとつもない(やる気がなさそうに感じられるのは、このためか?)
 演奏は、コニッツ、マーシュ、ゴメスともにピッチが甘く、全体にフニャフニャした感じがする。ソロ、アンサンブルともに最悪である。エヴァンスのピアノは普通だが、印象に残るほどではない。

Tony Bennett & Bill Evans / Together Again

Together Again

Together Again

  • 1976年9月27〜30日録音。
  • Tony Bennett (vo), Bill Evans (p)

 "The Tony Bennett Bill Evans Album" から1年3ヶ月ぶりに録音された、ヴォーカル&ピアノによる続編デュオ・アルバム。なぜか複数のレーベルから発売されたことがあり、前作との2枚組だったこともあり、ジャケットが違ったり、収録曲が微妙に違ったりする、ややこしいアルバムである。
 手元の CD は Concord レーベル発売のもの。全18曲(うち12曲は別テイク)が収録されている。内容的には前作と大差あるわけではないのだが、エヴァンスのピアノが単なる伴奏にとどまらず、長めのソロ・パートが用意されているのが目立つ箇所である。

Bill Evans / Quintessence

Quintessence

Quintessence

 13年ぶりとなるクインテット編成によるアルバム。フィリー・ジョー・ジョーンズ以外は、エヴァンスと初顔合わせとなる人たちばかりである。
 オリジナル LP は全5曲入り。CD はボーナストラック (6) が追加収録されている。(5) はケニー・バレル作曲のオリジナル。ほかはスタンダード・ナンバーである。アルバムは一番演奏時間の短い (3) "Second Time Around" を中心に(LP では A 面の最後)構成されていて、(3) のみピアノ・トリオ、他の曲はクインテットで演奏される。
 この中では、(3) が圧倒的に良い。特に、レイ・ブラウンがごきげんなベースを聞かせてくれるのである。(エディ・ゴメスにうんざりしていたファンも多かったことだろう。)だが、この曲はあっという間に、フェイド・アウトで終わってしまう。他の曲も悪くはないが、テナーとギターは飾り物的な位置づけに留まっている。
 追加曲の (6) はうって変わってリラックスした雰囲気のスタンダード・ナンバー。ケニー・バレルハロルド・ランドも、存在感のあるソロを聞かせている。
 70年代後半のエヴァンスは、セッションごとにメンバーの異なるクインテット作品を何枚か残しているが、本作はその中でも代表的な1枚といってよいだろう。

Bill Evans / Alone (Again)

Alone Again

Alone Again

 『アローン』以来7年ぶりとなるピアノ・ソロ・アルバム。7年ぶりだが、7年前とはかなり違った雰囲気の作品となっている。音の数がさらに多く、リズムはよりスウィングしているのだ。
 全5曲入り。1曲が6〜13分と長めの演奏である。もはやトニー・ベネットもエディ・ゴメスもいない。共演者がおらず、何の制限もなくなったスタジオの真ん中で、エヴァンスのピアノはひたすら美しい音を紡いでいく。スタンダード・ナンバーばかりだが、明るい曲調の選曲が多い点、好感がもてる。ピアノの音質まで明るく感じるのは、良くも悪くも1970年代の「音」だからだろうか。

Bill Evans & Eddie Gomez / Montreux III

Montreux 3

Montreux 3

 モントルー・ジャズ・フェスティヴァル(スイス)におけるライヴ録音第3弾は、Fantasy レーベルから発表された。おりしも、エヴァンスとゴメスのデュオ・アルバム "Intuition" 発売に合わせて行われたヨーロッパ・ツアー中の演奏である。
 オリジナル LP は全8曲入り。CD は2曲追加されたヴァージョンがある。ライヴ盤なのに、ほぼ新曲を揃え、"Intuition" との重複曲なしというところがミソなのだろうけど、エディ・ゴメスが弾く「ジャンゴ」なんてどこが良いのかちっともわからなくて困ってしまう。ベースの音が硬すぎ、低音カットしすぎなのである。この傾向は、彼が脱退する1977年まで続く。
 それに、新曲を揃えたのは良いのだが、大半の曲はピアノがテンポ・ルバートで弾き始め、途中からベースが絡むパターンなので、アレンジの目新しさは感じられない。結局、あらゆる点でスタジオ録音盤 "Intuition" を超えられない結果となったのである。

The Tony Bennett Bill Evans Album

Tony Bennett & Bill Evans Album

Tony Bennett & Bill Evans Album

  • 1975年6月10〜13日録音。
  • Tony Bennett (vo), Bill Evans (p)

 ポップ・シンガー、トニー・ベネットビル・エヴァンスによるデュオ・アルバム。ヴォーカルとピアノのデュオというのはクラシック音楽では当たり前だが、ポピュラー、ジャズの世界では非常に珍しい編成だと思う。それだけに危険な賭けでもあったわけで、実際、発表当時はほとんど見向きもされなかった作品である。
 この音楽が心地よいと感じるようになったのは、あるいは、良さがわかるようになったのは、自分が年をとったせいだろうか。それとも、録音後40年という時間が経ったためだろうか。数年前までなんだか辛気臭いと思っていたアルバムが、急に最近良くなってきたのである。僕の場合、こういう経験はあまりなくて、不思議なことだと思う。
 オリジナルは全9曲入り。CD は別テイク5曲追加。ベネット48歳、エヴァンス45歳のときの作品である。当時の彼らの年齢を過ぎてから聴くのが良いのかもしれない。

Bill Evans Trio / Live In Switzerland 1975

Live In Switzerland 1975

Live In Switzerland 1975

  • 1975年2月6日録音。
  • Bill Evans (p), Eddie Gomez (b), Eliot Zigmund (ds)

 ドラムにエリオット・ジグムンドが加入した直後のツアーから、スイスで録音されたブートレッグ。放送用音源を使用しているらしく、音質が非常に良いのが特徴で、公式録音とほとんど変わらない高音質である。(ただし、ジャケット写真はどうみても1960年代のものですね。)
 全12曲入り。ジグムンドの加入によって、エヴァンスの音楽は抒情とスウィングを取り戻したと感じる。多くの場面で、ピアノとドラムが美しく絡むのである。一方、ゴメスは単なるソリストとして参加しているのみであって、リズム・セクションやアンサンブルの一員としての貢献が次第に少なくなっていく。